数年前から、若者の物欲離れなどが深刻化しているとメディアで語られることがあります。実際に、外食、お酒、車、百貨店など日本の好景気の世代から考えるとかなり物欲が減っているというのは事実で私(アラサー)の周りでも話を聞いているとあながち間違っていないと思うことがよくあります。
またクレジットカードなどにおいても、数年前にクレジットカード事業に参入した楽天株式会社の年会費無料でショッピングポイント高還元率、さらに、入会キャンペーンとして5000円分のポイントが付与されるというプロモーションで人気を博している楽天カードなどは顧客満足度指数No. 1を数年連続で獲得し、会員数は推定1000万人以上いるとされており、日本を代表するクレジットカードとなっています。
バブル全盛期などは物欲の話と同じく、アメリカンエキスプレスやダイナースクラブなどのハイクラスカードやゴールドカードやプラチナカードを持っていることある種のステータスになっていた事を考えると、クレジットカードにおいてもある種のステータス離れがあるのでしょうか?
今回は2016年現在のクレジットカードにおけるステータス離れについて考察をしていきたいと思います。
三井住友信託銀行のダイナースクラブ独占権獲得から見るハイクラスカードの今
少し前の話になりますが、もともとシティカードジャパンが発行を行っていたハイステータスクレジットカードの代名詞ともされるダイナースクラブカードの独占権を三井信託銀行グループが獲得したというニュースがあったと思います。
なぜ、三井信託銀行グループはダイナースクラブカードの独占権をこのタイミングで取得したかというと、保有会員の違いによるシナジー(相乗)効果を狙ったと三井信託銀行グループの中でダイナースクラブカードの発行を行う三井住友トラストクラブ社長である 野原幸二氏は語っています。
もう少し詳細に解説をすると、三井住友信託銀行は預貯金やローン、資産運用や事業継承などを中心とした事業を行っています。そのため、保有顧客の層は50代以上の富裕層が中心となっています。
逆にダイナースクラブは中小企業のオーナー、医師、弁護士などの士業の方や事業家の方が多く年齢にすると30代〜50代までの層が中心となっています。
つまり、三井住友信託銀行グループとして未来の顧客を開拓するのには、ダイナースクラブの抱える会員層を囲い込む事は非常に効果的という事がわかると思います。
つまり、三井住友信託銀行としてはハイクラスクレジットカードのポテンシャルに期待しているという事がわかります。言い換えれば、ハイクラスカードは必要な人は未だに重宝しているという事も言えると思います。
ハイクラスカードはこれから増える?減る?
それではハイクラスカードの今後についてさらに考えていきたいと思います。
先ほどまでの情報を聞いているとハイクラスクレジットカードはこれから増えるか減るかという疑問を感じる事と思います。
三井住友トラストクラブ社長野原幸三氏曰く、これからハイクラスカードは増加をすると結論付けています。今後は団塊の世代(バブル好景気を経験した世代)が退職をしていき、お金に余裕のある層が増えていく事によって、ハイクラスカードの魅力やステータスを知った層が再度、高いステータスを求めてハイクラスカードへ入会するという流れが想定されているようです。この証拠にハイクラスカードを発行するクレジットカードブランドがここ十数年でかなり増えているという事も挙げられます。
所得と合わせて二極化するクレジットカードのステータスの話
さらに、今後様々なものが二極化していくと言われておりその最たるものが所得となっています。民間給与実態統計調査によれば、わずかずつではあるが、低所得者層(600万円以下の層)の平均所得は2009年から徐々に下降傾向になっており、反対に600万円以上の高所得者層の平均所得は増加傾向にあるというデータが公表されています。まさに所得の二極化が進んでいる状況となっています。
同じ状況がクレジットカード市場にも起きていると言え、低所得者層が目先の利益(クレジットカードのショッポングポイントなど)を重視する傾向が強くなっているため、楽天カードやリクルートカードなどポイント高還元率を売りにするカードが伸びており、高所得者層は逆にステータス、付帯サービスで選ぶハイクラスカードが発行枚数を伸ばしている状況にあります。
先入観を捨てる事によって見える世界
今回の話の主題となっている二極化の話ですが、私がこの二極化の最も大きな理由としてあると考えているものに金融知識不足、稼ぐ事への先入観が理由ではないかと考えています。
金融知識不足とは、例えば、税制の仕組み、投資感覚など日本の教育では一切受けることのない学問をどのようにして身につけるか?という話だと考えています。当たり前のように支払っている税金も日本では50名目以上がありますが、お隣にある香港などではたったの二つしかありません。少し前に話題になったタックスヘイブンのニュースも平たくいえば、上記のような税制の違いを利用したものだと言えます。
続いて、稼ぐ事への先入観ですが、私の周りのサラリーマンたちもよく「給料が下がった」、「ボーナスが上がらない」と言っています。日本人は自分の時間を対価にお金を稼ぐ方法しか知りませんのでこのような話をよく聴くのだと私は考えています。しかし、実際事業主として働く中で月の収入を数万円単位で増やす事は実は容易であると考えていますが、日本人には「お金を増やす」「所得を自発的に増やす」という感覚が著しく不足していると感じる事がよくあるのも事実です。
まとめると、お金に関する先入観を捨てていく事が出来なければ、今以上に所得、クレジットカードなどさまざまな格差が広がっていくのだと思います。
【2016年】実は拡大中?ハイクラスクレジットカード市場の話まとめ
この記事を読んでいただいた方はどのように感じたでしょうか?自分に関係のない話と思われたか、それとも、ハイクラスの仲間入りをしたいと思ったか。。。私自身は完全に後者です。自分の知らないところでハイクラスクレジットカード、または高所得者層が増殖しているという事自体も納得できない事実のように感じます。
少し脱線した部分もありましたが、今回はハイクラスカードの今後について事実を元に考察をしてみました。
私は高みを目指す人生の方が幾分カッコ良い気がします。